第150章 松本霞澄は死んだ

松本希実は呆然と立ち尽くし、自分が何を聞かされたのか理解できなかった。

「『一度も好きになったことがない』って、どういう意味よ? 緒方廷治、私を怒らせたいからって適当なこと言わないで!」

希実は彼の唇を食い入るように見つめ、言い訳でも弁解でもいいから続きを待った。けれど廷治には、そんな気分は欠片もないらしい。彼は表情ひとつ変えず、松本霞澄のことを重ねて問いただしてくる。

希実は歯を食いしばり、声を震わせた。

「信じない。あなたが私を好きだったことがないなんて。ちゃんと説明しないなら、私は何も話さない!」

その手の脅しは、廷治にとって聞き慣れたものだった。しかも今日だけで二度目。

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