第153章 彼女は骨壺を抱えて現れた

「文峰! 希実よ、希実から電話!」

画面に点滅する名前を見た瞬間、夏目乙美はぱっと表情を明るくした。松本当主もさっきまでの険しさが少しだけ引き、目だけで妻に出ろと促す。

「もうM国に着いた。何の用?」

声はひどく冷たい。実の親に向ける口調とは思えなかった。

乙美は胸いっぱいに溜めていた心配や労いの言葉を、喉の奥で全部飲み込むしかなかった。

妻の顔色が変わったのを見て、松本当主は苛立ったようにスマホを奪い取る。厳父の仮面を被り、低く叱りつけた。

「松本希実! 海外へ行くなら、どうして事前に言わない。お前の目には、父親も母親ももう映っていないのか」

だが電話の向こうの希実は、鼻で笑...

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