第165章 親子鑑定をもう一度

松本希実は、いかにも切羽詰まった顔を作って医師に食い下がった。

「先生、さっき出ていった妊婦さんのお名前だけ、教えていただけませんか。私……長年行方の分からない友だちに、あまりにも似ていて……!」

哀れっぽく感情に訴え、何度も何度も繰り返す。ほかの患者のプライバシーを覗きたいわけじゃない、ただ『名前』だけが知りたいのだ、と。

しまいには診察を受けていた妊婦までが、松本希実の必死さにほだされたのか、医師に向かって一緒に口添えしてくれた。そこでようやく医師は、渋々と告げる。

「……メルダさん。苗字は、たしか……シノザキ、だったはずです」

松本霞澄、じゃない?

意外だった。けれど、断言...

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