第42章 赤ちゃんを残してもいい

「子ども? ……子どもなの?」

松本霞澄は、母親になる心の準備なんてまるでできていなかった。しかも、ずっと産まないと決めてきたのだ。だから目を覚ました直後、真っ先に思い出したのは「そのこと」ではなかった。

けれど羽田絵亜に問われた瞬間、胸の奥に隠していた後ろ暗い秘密を、真正面から突き当てられたようで――頬が熱くなる。

「わ、私……」

親友が言い淀むのを見て、羽田絵亜は慎重に探るように口を開いた。

「緒方廷治の……?」

松本霞澄は、観念して頷いた。

彼女の身近にいる男なんて、結局その一人しかいない。ここで取り繕っても、羽田絵亜を馬鹿にしているだけだ。

「……最悪。あのクズ! ど...

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