第59章 引っ越してきて、俺と一緒に住んで

松本霞澄が自分の部屋へ戻ったのは、もう夜九時を回った頃だった。

菊池青果はやたらと距離の近い子だ。霞澄のことを「気が合う」と思ったらしく、どうしても一緒にご飯を食べようと引っ張ってくる。霞澄が必死に断らなければ、カラオケに行って、そのままバーで朝まで――なんてコースを本気で提案してきたに違いない。

けれど、その約束は結局「借り」になった。今日行けなかったぶん、週末のどこかで埋め合わせをしなくちゃいけない。

霞澄はドアを内側からきっちり施錠して、体じゅうの力を抜いた。ソファに沈み込み、まるで水みたいに溶けていく。

今日は引き継ぎだけだった。青果も飲み込みが早く、同じことを何度も言わなく...

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