第64章 自分と和解する

松本当主は胸の内でひやりとした。松本希実がうっかり口を滑らせたのだと思い込み、とっさに取り繕おうとする。

「霞澄、頼むから……お姉さんのあんな馬鹿な言葉、真に受けないでくれ。あいつの性格はお前も知ってるだろ……」

その台詞は、以前にも一度、松本霞澄を丸め込むのに使ったことがある。あのときは効いた。だが、今回は違った。

霞澄は当主の言葉を遮った。

「分かってます。でも、今回は違うんです。あの人、全部言いました。松本さん……二十五年間育ててくれたことに免じて、最後に一度だけ『お父さん』って呼びます。お父さん、教えてください。私の身の上って、いったい何なんですか?」

真っすぐで、嘘のない...

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