第68章 本当に好きな人は、松本霞澄ね?

その言葉を聞き終えた瞬間、松本霞澄は胸の奥がむかむかしてきた。反射的に、新谷明珠が差し出してきた手を避ける。すると――あのやたらと綺麗な袋が、ぽとりと床に落ちた。

新谷明珠が「あら」と小さく声を漏らし、傷ついたように、委屈そうに眉を下げる。

「……どういう意味?」

時川樹は一瞬考え、屈んで袋を拾い上げると、松本霞澄をかばうように口を挟んだ。

「誤解しないでください。霞澄さん、体に力が入らないだけです。親友なんですよね? それで責めるのは違うでしょう」

その言葉に、新谷明珠はぱっと表情を明るくした。

「そういうこと? もー、離間しないでよ。霞澄さんを責める気なんて、これっぽっちもな...

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