第72章 彼女は実は俺の彼女だ

保坂昭江の言葉は相変わらず刺々しい。松本霞澄は爆発しそうになるのを必死で堪えていたが、最後まで聞くうちに逆に頭がこんがらがってきた。

「……『今後の買い切り』って、どういう意味ですか」

保坂昭江は落ち着き払った口調で説明する。

「あなた、しばらく「身を引くふり」をして――そのうち別の名目で戻ってくるつもりでしょう。たとえば『仕事』だとか『研究』だとか。そうやって廷治とまた関係を持つ。私はそれを許しません。可能性すら残したくない。だから、この6億を受け取りなさい。今日から帝都を離れて、二度と戻らないこと。さらに、どんな業界の仕事にも就かない。いいわね?」

その言葉は、霞澄の胸を真正面か...

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