第75章 友人として

いつもは人当たりがよくて話も早い江口惟純が、このときばかりは珍しく強引だった。きっぱりと言い切る。

「信じて。君、こんなに綺麗なんだから何着たって似合う。絶対ハマるよ。関谷さん、持ってきて」

松本霞澄は真面目な顔のまま首を振る。

「でも……私はもう、ピンクは似合わない気がします」

ピンクをいちばん着たかった年頃、家にあるピンクの服は全部、松本希実のものだった。自分が許されたのは黒やグレーばかり。――いまさらピンクに憧れる気持ちなんて、どこにも残っていない。

惟純は人差し指を立て、霞澄の唇にそっと当てた。

「しーっ。静かにして、お願い。今日は一回だけ、素直に服のハンガーになってくれ...

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