第76章 報復

松本霞澄と江口惟純が百花の苑に到着したのは、午前11時ちょうどだった。

出迎えたのは年配の女中で、惟純とは顔なじみらしい。会うなり、彼は親しげに抱きつく。

「木村さん、若返ったんじゃない? 10歳は若く見える!」

木村さんはむっとした顔で、ぽかりと彼の肩を叩いた。

「江口殿は相変わらず口が軽いこと」

それから視線が霞澄へ移る。態度は一気に丁寧になり、どこか嬉しそうに目を細めた。

「こちらが……江口殿の恋人さん?」

正直、霞澄には嘘を認めるのがつらい。

けれど惟純は、迷いなく彼女の肩を抱き寄せて笑った。

「ほら木村さん、俺たち、かなりお似合いじゃない?」

木村さんはふん、と...

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