第81章 緒方家の息子の嫁は永遠にあんたではありえない

物事というのは、ときにこうも皮肉なほど噛み合うものだ。本来なら緒方廷治が聞くべきだったその一言は、扉の外から飛んできた声の大きい女中の呼びかけに、あっさりかき消された。

「若様、奥様のところへまだ行かれていないのですか? 奥様がお待ちかねで……このままだと、こちらへお迎えにいらっしゃいますよ!」

緒方廷治は立ち上がり、苛立たしげに扉のほうへ二歩ほど進む。だが途中でふいに振り返り、松本霞澄に言い捨てた。

「続きはまた今度だ。今日は手配して送らせる。いいか、忘れるな。俺はお前が欲しい。お前がいないと困る。勝手に離れるのは許さない。お前は一生、俺のそばにいろ」

相変わらずの横暴な言い分だっ...

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