第88章 計画

宴会場へ向かうタクシーに乗り込んでなお、松本霞澄は、ぐちゃぐちゃに絡まった感情の渦から抜け出せずにいた。

認めたくはないけれど――自分は俗っぽい人間だ。緒方廷治がちらつかせた金の匂いに、どうしても心が動いてしまう。

緒方廷治の背後には、やり手の母親がいる。それでも、万が一があるかもしれない。短期間で株と金を手にできるなら……。

そのときだった。

突然飛び出してきた路面電車を避けるため、運転手がハンドルを切る。車体がぐらりと揺れ、松本霞澄の頭が隣の窓ガラスへ――ごんっ、と重くぶつかった。

「いたっ……!」

声が漏れた瞬間、運転手の謝罪がかぶさる。

「すみません! わざとじゃないん...

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