第97章 局面を覆す

松本霞澄はさすがに驚いた。

「……動画まで撮ってたの?」

佐野静は松本霞澄にウインクしてみせる。

「みんなコソコソ撮ってたでしょ? なら私も乗っかるしかないじゃん! でも一応、私って半分プロみたいなもんだし、手ブレは絶対ないから。ほら、早く見て!」

まるで宝物を差し出す子どもみたいに、佐野静は自分の「作品」を見終えるのを今か今かと待ち構えている。

松本霞澄はふっと笑って、その期待に従うことにした。

保坂昭江の登場は、あまりにも絶妙なタイミングだった。

緒方廷治が「松本希実の腹の子は自分の子だ」と認めた直後。彼が続けて「婚約破棄」を口にしようとした、その瞬間――。

カツ、カツ、...

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