第7章

 カリフォルニアの十月。陽光はまるで、溶けた黄金のように降り注いでいた。

 分厚い学術資料を抱え、バークレー校の図書館を出る。太平洋の潮の香りを含んだ秋風が吹き抜け、足元で枯れ葉がカサカサと乾いた音を立てた。

「ユキナ! 待って!」

 背後からルームメイトのエミリーの声がする。立ち止まって振り返ると、彼女が息を切らして走ってくるのが見えた。

「歩くのが早すぎよ!」彼女は文句を言った。「経済学のゼミ、明日に変更になったの。教授からのメール見てないの?」

「え?」私はスマホを取り出して確認した。「あ、本当だ。教えてくれてありがとう」

「ってことは、今夜は暇になったわよね?」エミリーが...

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