第9章

三ヶ月後。パリの街はまるで違うレンズのフィルターを通したかのように、空気にもアートの香りが漂っているようだった。

私はル・マレ地区にあるギャラリーの、床から天井まである大きな窓の前に立ち、外を行き交う人々を眺めていた。胸が少しだけ高鳴っている。今夜は、隼人と私の合同展のオープニングナイト――私のタトゥーデザインと彼の写真が、初めて公の場でコラボレーションするのだ。

「緊張してる?」隼人が後ろから私を抱きしめ、顎をそっと私の肩に乗せた。

「少しだけね」私は素直に認めた。「自分の作品がパリのような場所で展示されるなんて、想像もしてなかったから」

「すぐ慣れるよ」彼は私のこめか...

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