第199章 こっそり彼女を見る

「夢子さん」

天樹夢子を呼び止め、白上流は得意げに眉を吊り上げて言った。

「北斗兄さんが入院してるって言ったろ。嘘じゃなかっただろ!」

天樹夢子が口を開く前に、白上流はまたにこにこと続けた。

「北斗兄さんの見舞いに来たんだろ! じゃあ邪魔しないから、俺は先に帰るわ」

そう言って、彼は両手をズボンのポケットに突っ込んだまま前へと歩き出した。

天樹夢子の横を通り過ぎる際、彼は彼女に向かってくいと眉を上げてみせる。まるで、お前が北斗兄さんを放っておけないのは分かってた、絶対に見舞いに来ると思ってた、とでも言うようだ。

白上流のその得意げな態度に、服のポケットに両手を突っ込ん...

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