第203章 夢子が好きだ、彼女と離婚しない

 陸川景陽とあんなに親密にしておきながら人目も憚らないくせに、今更電話一本で何をこそこそ隠すことがあるのか?

 両手をズボンのポケットに突っ込み、天樹夢子を訝しげに見つめる。彼女のそばまで歩み寄ると、陸川北斗は手を伸ばし、そのスマートフォンをひったくった。

 それを見た天樹夢子は、すっくと立ち上がってスマートフォンを取り返した。「もうやめてくれる! 今の私たちの関係で、あんたに私のスマホを見る資格なんてないわ」

 以前、A市を離れる前、まだ離婚を切り出していなかった頃なら、彼がこんなふうに嫉妬してくれれば嬉しかったし、冗談に付き合ってあげることもできた。だが、今や息子までいる身だ。誰が...

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