第446章 キスしたら元気になるよ

顔を上げて視線を向けたその瞬間、陸川北斗はまだ異変に気づかなかった。

やがてその中年男女が夫婦であると認識し、二人の顔に見覚えがあると思い至った時、陸川北斗の顔色が一変した。

少し離れた場所にいる中年夫婦を愕然と見つめる。陸川北斗の胸中に名状しがたい感情が渦巻いた。もし見間違いでなければ、記憶違いでなければ、あの二人は江崎宗遠と川瀬穂のはずだ。

彼らは三十年以上前の、あの海中転落事故で亡くなったのではなかったか?

一瞬にして、陸川北斗の眉間には深い皺が刻まれ、胸の内は言葉にできない感情で満たされた。

陸川北斗が驚きのあまり立ち止まると、中年女性の目は瞬く間に赤くなり、涙がその縁に溜...

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