第496章 彼は弁えている

「宮沢宣之、何するの? なんで私のマスク捨てたのよ」

 彼女は声を上げた。

 宮沢宣之はそっけなく答える。

「期限切れだ。着けてたらアレルギーになるぞ?」

「……」

 春川柚香は、彼が適当なことを言っている気がしてならない。

 恨めしげな視線を向ける彼女の手を取り、宮沢宣之は笑って言った。

「安心しろ、ニュースになんかさせないから」

 宮沢宣之自身はスキャンダルなど恐れていない。彼にとってそんなものは日常茶飯事だ。だが、春川柚香は一般人だ。彼女の生活に影響を与えたくないし、迷惑をかけたくないのだ。

 その言葉を聞いて、春川柚香はようやく彼と共にスーパーへと足を踏み入れた。

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