第526章 あなたは彼の初恋

初対面とはいえ、宮沢宣之の友人たちを前にしても、春川柚香は意外なほど淡々としていた。余裕すら感じさせるその落ち着きぶりは、宮沢宣之に余計な心配をかけまいとする配慮のようでもあった。

柚香が愛想よく振る舞う中、宣之は彼女の肩を抱き寄せ、皆への紹介を済ませると、耳元で低く囁いた。

「柚香、座りな」

柚香は言われるまま、天樹夢子と宣之の間の椅子に腰を下ろした。

ただ、内心では驚愕していた。まさか宣之が自分のことを『婚約者』として紹介するとは思ってもみなかったからだ。せいぜい付き合い始めたばかりの彼女、あるいは会社の同僚程度だと言うと思っていたのに。

席に着いた柚香に、天樹夢子は満面の笑み...

ログインして続きを読む