第108章 どうしてここにいるんだ

黒崎恒一はいったい、どこへ行ったのか。

時を少し巻き戻し、式が始まった直後――。

「黒崎社長、まず水野さんが先に登壇されます。その次が社長です。司会の指示に合わせて進めれば、流れは問題ありません」

鈴木謙介はそう言いながら、黒崎恒一の身だしなみを最後に整えていく。

「そうだ。祖母と母さん、まだ来てないのか?」

黒崎恒一はやはり気になっていた。ここまで、二人の姿を一度も見ていない。

鈴木謙介は首を横に振る。

「まだお見かけしていません」

黒崎恒一は眉を寄せた。胸の奥に、言いようのないざわつきが広がる。こんな大事な日に、あの二人が顔を出さないはずがない。何かあったのか――。

電...

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