第142章 向こうから来たチャンス

「恒一、今日も仕事忙しかったの? どうしてこんな遅くまで……」

黒崎恒一が部屋に戻ったとき、もう日付はとっくに変わっていて、下手をすれば明け方に近かった。それでも水野優奈は、リビングの灯りを落とさずに待っていた。

「……まだ起きてたのか」

眉間に皺が寄る。優奈は以前「待ってる」と言った。けれど恒一は、そんな約束よりも彼女の体のほうが大事だと思っている。

「心配だったの。帰りが遅いし、夕飯も食べてないんじゃないかって。だから待ってた」

そう言いながら、優奈は足元のおぼつかなさなど気にしないふりをして、台所へ向かう。止める間もなく、しばらくして彼女は小皿をいくつも抱えて戻ってきた。

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