第165章 彼女はそもそもこんな金に困っていない

「状況はどうだ」

黒崎恒一が目の前の男を見据えて問う。

「黒崎社長。彼女のあとを追ってホテルまで行きましたが、桜井さんの姿は確認できませんでした。念のため宿泊者リストも当たりましたが、桜井さんの名前はありません」

黒崎恒一は眉間にしわを寄せた。

葉山静香がこの街に来たのなら、桜井瑞希のところに身を寄せる――そう踏んでいた。ならば静香を追えば、瑞希に辿り着ける。

だが、現実は違う。

むしろ瑞希は、そこまで読んで手を打っているのかもしれない。

「桜井瑞希……いったい、どこに隠れてる」

こめかみがじくじくと痛む。どうしてあいつは、いつも俺から逃げる。

一方その頃、葉山静香はホテル...

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