第167章 囚われる

「うそつき! 由衣にはパパもママもいるもん!」由衣が声を張り上げた。

「じゃあ言ってみろよ。お前の親って誰だ?」

「……そ、それは……」

由衣は分かっていた。ここで桜井瑞希と黒崎恒一の名を出したら、こいつらは腰を抜かす。

――でも、まだ言えない。

「どうした? 言えねえのか?」

「もうやめろ!」

颯太が飛び出し、由衣を背中にかばう。

「これ以上やるなら、黒崎おじさんに言うからな!」

「黒崎幸枝に気に入られてるのをいいことに、黒崎社長が本気でお前らの面倒を見ると思ってんのか?」

男が嘲るように笑った。

言いながら、二人をさらに奥の隅へと追い詰めていく。

「――そこで何を...

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