第170章 黒崎おじさんと一緒に寝る

桜井瑞希の唇に触れようとした、その瞬間――病室のドアが、こんこんと叩かれた。

「入ってもいいですか」

その声を聞いた途端、黒崎恒一の顔がすっと陰る。

――そうだ。関根承吾がいた。

桜井瑞希の、元彼かもしれない男。

「……入れ」

冷えた声で告げると、関根承吾がドアを押し開けて入ってくる。ベッドの上の瑞希を見た瞬間、彼の表情がみるみる青ざめた。

「黒崎社長、瑞希は……大丈夫なんですか」

関根承吾はためらいもなく瑞希の手を取り、両手で包み込む。

「命に別状はない」

そう言われても、関根承吾の不安は消えないらしい。持ってきた濡れタオルで瑞希の頬をそっと拭いながら、静かに言った。

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