第213章 専用機

桜井瑞希は黒崎恒一に腕を引かれ、そのまま車へ押し込まれた。最初は何も疑わなかった。だが走り出してしばらくすると、胸の奥がざわつく。

――この道、空港じゃない。

「黒崎社長、私たち……どこへ向かってるんですか?」

焦りが声に滲む。もうこれ以上、彼に回り道をさせる余裕なんてない。

その問いが終わるか終わらないかのところで、黒崎恒一はすっと車を寄せて停めた。

「着いた」

次の瞬間、数人のボディガードが近づき、扉を開ける。

「黒崎社長、桜井さん。準備は整っております」

「準備……?」

瑞希は意味が分からず眉を寄せた。いったい何を企んでいるのか。

黒崎恒一は横目で部下を見て、短く指...

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