第214章 修羅場

翌日。関根承吾が病室に顔を出した瞬間、桜井瑞希と黒崎恒一がすでにそこにいるのが見えた。

「黒崎おじさん、きょうは帰らないで。ねえ、いいでしょ?」

由衣が黒崎恒一の服の裾をぎゅっと掴んで離さない。

桜井瑞希は困ったように眉を下げる。

「黒崎おじさん、今日はお仕事があるんだから。そんなわがまま言っちゃだめ」

ところが黒崎恒一は、淡々と答えた。

「いい」

桜井瑞希が目を丸くする。

「……甘やかしすぎ。仕事、放り出して本当に平気なの?」

黒崎恒一は片眉を上げた。

「何が問題だ」

桜井瑞希は彼を見つめたまま、言葉が続かない。

その光景を見て、関根承吾の胸の奥がじわりと沈んだ。

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