第219章 天より授かった好機

「瑞希、どうしたの?」

葉山静香が帰宅したときには、もう夜も更けきっていた。

電気をつけた瞬間、部屋の真ん中に人影があるのに気づく。座り込んでいたのは、桜井瑞希だった。

瑞希はただ両腕で自分の身体を抱きしめたまま、静香の問いに答えない。

「瑞希、やめてよ……脅かさないで。いったい何があったの?」

こんな瑞希の姿を見るのは久しぶりで、静香は胸の奥がざわついて、どうしていいか分からなくなる。

沈黙が長く続いたあと、瑞希がようやく唇を動かした。

「……私、負けた。しかも、完敗」

声は掠れている。

「子どもたちまで傷つけた。自分も……こんなところまで追い込まれて」

静香はしばらく...

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