第40章 お前ごときが

黒崎恒一は目を細めた。全身から放たれる圧が、空気ごと押し潰す。

「スマホは返してやる。ただし条件がある。説明しろ。どうしてお前の端末にプログラムが仕込まれている。しかも、その書き方……前にうちの会社の案件が盗まれたときの手口と同じだ」

さっきまでは確信が持てなかった。だが今は、七、八割――この女には裏があると断じていい。

桜井瑞希の胸がひゅっと鳴った。まさか、そこまで洗われているなんて。

息子がコードをいじるとき、癖を変えもしなかったのだろう。そこまで頭が回らなかったのか。

……いや、まだ幼い。あの年であの精度なら、むしろ異常だ。

結局、老獪なほうが上手だった――そういうこと。

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