第64章 黒崎社長にあんたに子供が二人いると知られたら

けれど結局、桜井瑞希は招待状に手を伸ばし、受け取った。

「安心してください。黒崎社長の婚約パーティー、私たちも必ず伺います」

そう言い残すと、桜井瑞希は婚約の招待状を手に、そのまま部屋を出ていった。

黒崎恒一は、ただの気のせいだろうと思いながらも――さっきの桜井瑞希の表情が、ほんの一瞬だけ自分の感情を揺らした気がしてならなかった。

桜井瑞希が去った以上、菅田晴海もここに居座るわけにはいかない。自分だけが場違いな「邪魔者」になってしまう。

「では黒崎社長、用がないようでしたら、私も失礼します」

黒崎恒一は返事をしなかった。だが菅田晴海は、それを「許可」と受け取り、さっさと退室した。...

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