第8章 誰が履歴書を送ったのか

「仕事だ。前にお前が狙ってた例の案件、こっちで所在を掴んだ」

電話をかけてきたのは柴田弦次だった。瑞希の部下で、ずっと彼女の下について動いている。黒崎恒一と離婚する前から、彼は瑞希のために手を汚してきた男だ。

桜井瑞希は足元の小石をつま先で蹴る。

「どこ?」

「黒崎恒一の会社だ。まだ本人は本腰を入れてないみたいだが……そろそろ動く。先に仕込んでおいたほうがいい」

瑞希の喉元まで、悪態がせり上がった。

つまり――あの案件を取るには、黒崎恒一の会社に入り込めってこと?

「敵の懐に入らずして、どうやって奪う」

自分でも分かっている。だが、簡単な話じゃない。案件を一つ取るのに、どれだ...

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