第85章 桜井瑞希に罠を仕掛ける

桜井瑞希はこの瞬間、水野優奈がまるでベタベタ張りつく絆創膏みたいに自分について回って、しかも振り払えないタイプだと痛感した。

……まあいい。ここまで来たら、これ以上断ったところで、いつまで絡まれるか分かったものじゃない。

会社は人の出入りが多い。噂話がどれだけ好まれるか、瑞希だって知らないわけがない。しかも水野優奈は以前も会社に顔を出している。社内では、瑞希と黒崎恒一の関係を疑う声が出ていた。そこへまた優奈が瑞希を訪ねてきたとなれば、連中が勝手に話を膨らませるのは目に見えている。

瑞希は深く息を吸った。

「私、時間は20分しかないの。子どもの迎えもあるし」

「ええ、20分で十分よ」...

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