第90章 彼女のために立ち上がる

中村社長は手にした契約書を見つめ、冷や汗が止まらなかった。

認めたくはないが、状況は黒崎恒一の言った通りになっている。しかも、ついさっき自分の口で「説明を信じる」と言ってしまった。つまり、これまで「プロジェクトから降りる」と言って揺さぶっていた切り札は、もう使えない。

8000万――小さな額じゃない。

この案件がすでに利益を生んでいるなら、まだ交渉の余地もあっただろう。だが今抜ければ、プロジェクトが丸ごと手元に残るだけじゃない。追加で相当な損まで抱え込むことになる。

会社にとっては、かなり重い負担だ。

そして、どう転ぶかは、結局彼の一言にかかっている。

「黒崎社長……」

中村社...

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