第6章

私はついに手を放し、リビングへと後退した。

もし外に本当に凶悪犯がいるのなら、出ていくのはまさに自ら網にかかりにいくようなものだ。台風の夜に加え、犯罪者が潜伏している可能性がある以上、701号室に留まることが最も安全な選択だった。

私に必要なのは時間。本物の警察が到着するのを待つ時間だ。

だがそれと同時に、梶浦と『鹿島』を安心させる必要もあった。

私はLINEを開き、梶浦と『鹿島』が作った小規模なグループでメッセージを送った。

「分かりました。今から702号室のドアをノックしに行きます。また連絡します!」

メッセージを送った後、グループは再び突然静まり返った。

誰...

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