第170章

フレデリックだった。

彼は本当にやって来たのだ。

シシの顔から血の気が引き、膝から崩れ落ちそうになった。この女は、本当にフレデリックの知り合いだったというのか?

アリアナの顔からも、一瞬にして血の気が引いた。ベアトリスからのたった一本の電話で、フレデリックが自ら姿を現すなど、想像もしていなかったのだ。

フレデリックの視線がベアトリスを捉えた。彼は周囲の人間など眼中にない様子で彼女に歩み寄ると、淡々と尋ねた。「どれだ?」

彼の背後に控える役員やモールの支配人たちは、息をすることすらためらっていた。彼らは皆、抜け目ない人間である。フレデリックが一本の電話を受けただけで、重要な役員会議を中...

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