チャプター 28

フレデリックは身動き一つせず、レティシアに視線を向けることさえなかった。ただ、グラスに残っていた酒を飲み干しただけだった。

焼けつくような液体が胃の腑へと流れ落ちていったが、彼の心に渦巻く炎を消し去ることはできなかった。

何の反応も示さない彼を見て、レティシアはさらに距離を詰め、同情を誘うような声色で言った。「初恋の人というのは確かに忘れられないものでしょうけれど、あなたと結婚した後も、彼女がまだ引きずっているなんて思いもしなかったわ……」

言葉を濁してはいたが、そのほのめかしの意図は十分に伝わってきた。

フレデリックはようやく動いた。ゆっくりと顔を上げると、普段は深淵のように静かな瞳...

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