チャプター 44

黄昏クラブ

個室のボックス席は、氷がグラスに触れてかちりと鳴る音だけが響くほど静まり返っていた。

フレデリックは椅子にだらりと身を預け、火のついていない葉巻を指先で弄びながら、視線を携帯電話に縫い付けていた。画面は暗いまま。帰宅していないのは二日目だ。ベアトリスからは一度も連絡がない。婚前契約の期限が切れようとしている。あの玄関をくぐり、彼女の口から「もう終わりよ」と告げられるのを想像するだけで、足がすくんだ。

向かいではデニスが足を投げ出し、にやりと笑う。「それ、穴が開くまで睨んでたら奥さんが中から這い出してくるって? スチュアート・グループを仕切る男が、家に帰るのが怖いだなんて――ゴ...

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