第106章

桐生椿の言葉は鋭かった。だが、筋が通っていないわけでもない。

その場で口をつぐみ、距離を取った者もいる。

一方で、あの言い方は侮辱だと受け取った者も少なくなかった。

命を懸けて積み上げた栄誉だ。軽々しく踏みにじられていいものじゃない。

「ほらね。最近は暮らしが楽になったせいで、この平穏が誰の犠牲で成り立ってるか忘れる奴が出てくる」

「そういうのって、恩知らずって言わない?」

桐生椿には、その少女が何を得意げにしているのかが分かっていた。

――人民のために貢献したんだから、敬われて当然。称えられて当然。そう言いたいのだ。

けれど、本物の英雄は自分の強さを誇らない。

英雄だって...

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