第12章

男はまだ、この車が誰のものか気づいていなかった。ただ、相手の運転が神がかっている――その一点に、背筋がぞくりとした。

慌ててインカムに向かって叫ぶ。

「おい、みんな! さっきから、何台も抜いてくるスポーツカーがいるんだけど、見えたか?」

ほどなく返事が飛んできた。

「見えた見えた。あの車、なんか見覚えあるんだよな……誰が乗ってんだ?」

「この辺に、いつの間にそんな化け物が出てきたんだよ」

「弥生とやり合ったら、どうなるか楽しみだな」

「……」

数人の声が同じチャンネルに乗り、走っている全員の耳へ流れ込む。

藤崎弥生も当然、それを聞いていた。

ここは一般開放のコースだ。今夜...

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