第127章

九条蓮と桐生椿は、外見を大きく変えてはいない。顔に蝶の仮面をつけただけだ。

――こいつ、目が節穴なのか。九条蓮がJ国の戦神だと、本気で気づいていない?

「モノクロの蝶。何を突っ立ってる。来い、取引の時間だ」

九条蓮は桐生椿を引き寄せ、腕の中に抱き込んだ。

距離が縮まれば、声を落としても届く。

「今の俺たちは、国際的に名の知れた『モノクロの蝶』だ。合わせろ。ボロを出すな」

桐生椿が眉をひそめる。

モノクロの蝶――悪名高い多国籍スパイの夫婦。要するに金しか見ず、国だの忠誠だのという概念がない連中。

九条蓮は今回、重要データを取り戻すだけじゃない。――ついでに、別の獲物も狙っている...

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