第132章

九条蓮が桐生椿のしたことを理解した瞬間、反射的に彼女を突き放した。

「……俺が、選び間違えたって知ってたのか?」

「知らない。でも女の勘ってやつ」

桐生椿はさらりと言って、わざと指先で自分の唇をトン、と触れる。どこか余韻を味わうような表情。

人を誘う狐、そのものだった。

九条蓮は鉄壁の男だ。

けれど、感情を受け取れないわけじゃない。

こんなふうに撫でるように煽られて、何も起きないはずがない。

首筋と耳がじわりと赤く染まったのが、その証拠だった。

それでも顔だけは、最後まで真面目を崩さない。

「危機は解除。任務完了。――撤収だ」

桐生椿は言い捨てると、未練の欠片もなく踵を...

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