第142章

「こんなことまで、あたしたちが面倒見なきゃいけないわけ? 特工ってもっとカッコいい仕事だと思ってたのに。実際は大したことないじゃない」

 九条蓮は資料をまとめ、静かに机へ置いた。

「今回の任務は経済犯の身柄確保だけじゃない。隠し目的がある。――そいつが長年スパイとしてJ国の機密を売り渡していた可能性、その調査だ」

 ある意味、九条蓮も情報局側の人間だ。組織の一員として、それを洗うのは筋が通っている。

 ……通っているからこそ、胡散臭い。

 桐生椿は確信していた。上の連中は分かっているのだ。この世で自分を「抑えられる」人間がいるとしたら、九条蓮しかいないことを。

 だから同じ任務に...

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