第15章

外へ出られない、だって?

闇の中で、桐生椿は狡猾な瞳を細める。そこに差し込むのは、冷えた鈍い光。

まるで小さく嘲るみたいに。

――それは困る。

彼女は出る。出るだけじゃない。やるべき“大仕事”がある。

正面玄関が塞がれているなら、別の道を使えばいい。方法なら、いくらでもある。

「サッ」

老当主と桐生夫妻の会話を盗み聞きし終えると、椿は猫のように身を軽くして二階へよじ登った。高さを利用し、塀へ向かってふわりと跳ぶ。

空中で音ひとつ立てず、するりと越える。

そのまま地面へ着地し、繁華街の灯りへ一直線。

もし今の光景を誰かが見ていたら、口が開いたまま塞がらなかっただろう。

映...

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