第159章

桐生椿は反射的に九条蓮の口を手で塞いだ。距離が近すぎて、あまりにも親密な仕草。

「しっ。誰か来る」

そう囁くと、すぐに手を離す。

九条蓮の唇には、まだ少女の手のひらの温もりが残っている気がした。

彼女の手も自分と同じように硬い茧があるはずなのに、不思議と柔らかく、すべるように感じる。

「九条社長、こちらにいらして助かりました。招待状をお届けに参りました。今夜のオークションは実に面白い内容でして。ぜひお見逃しなく」

執事が一通の招待状を九条蓮へ差し出す。

桐生椿が眉を上げた。

「私は? 招待状って、相手を見て出す出さない決めてるわけ?」

そのとき、ブルーがふらりと近づいてくる...

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