第160章

陸行は、リースの素性に疑念を抱いた。

こいつは何者で、何の目的でここにいるのか――それを確かめるため、九条蓮は立ち上がるなりリースの腕を掴み、そのまま引きずるように連れ去った。

(……バレるようなこと、した覚えはないんだけどな)

そう思った次の瞬間。

「――っ」

壁に押しつけられた。いわゆる壁ドンだ。

九条蓮は片手で桐生椿の顎を持ち上げ、じりじりと距離を詰めてくる。

自分がどうかしてしまったのか、それとも目の前の“こいつ”が何者なのか――確かめるための、乱暴な手段。

だが、リースはれっきとした男だ。

九条蓮がキスでもするつもりだと察した途端、背筋がむず痒くなってくる。

唇...

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