第164章

桐生椿は、拳をぎゅっと握りしめた。

――クソが。

あいつらが手を出した相手は、彼女の仲間だ。許すわけがない。骨まで砕いて、塵ひとつ残さず消してやる。

椿がそのまま敵の前へ出ようとした瞬間、リースが反射的に椿の腕を押さえた。

「女神、早まるな。どう考えても誘い込みの罠だ。周囲には少なくとも千人規模が潜んでる」

「一万人いようが関係ない。助けに行く」

クラゲは戦友であり、家族だった。自分が生きている限り、必ず連れ帰る。

「でも、もし――」

「私の辞書に『もし』はない。どけ」

言い捨てると、椿はリースを押しのけ、まっすぐ前へ歩き出した。

「誰だよ、あいつ。あんな危ねえところに行...

ログインして続きを読む