第167章

川崎一輝はその声を聞いた瞬間、はっと振り返った。

だが、目に入ったのは見知らぬ顔だった。

――記憶の中の、あの優しい少女じゃない。

桐生椿が言う。

「まさか、こんな場所であなたに会う日が来るなんてね」

川崎一輝は黙ったまま。

「どれだけ人を殺したの。逃げた先が、ここってわけ?」

「誰のために動いてるの? あの武器データ、漏らしたのはあなた?」

矢継ぎ早の追及に、川崎一輝は長い沈黙へ落ちた。

九条蓮が桐生椿へ視線を向ける。

「001……こいつを知ってるのか」

「知ってる。193事件の当事者よ」

九条蓮は「193事件」と聞いた瞬間、すべてを察した。

あの件はJ国の機密に...

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