第168章

「……お前、男じゃなかったのか?」

「男にもなれるし、女にもなれる。そもそも――001の素顔を、本当に見たやつがいると思う?」

桐生椿が、自分こそが001であり、川崎一輝が追っている相手だと認めたのは、ただ一つ。彼に思い知らせるためだ。

――自分みたいな人間を好きになりたいなら、まず“立場”を正さなきゃいけない、と。

J国を裏切った時点で、彼には最初から、彼女の隣に立つ資格などない。

案の定、川崎一輝は打ちのめされた顔をした。

001がどれほど祖国を重んじるか、彼は知っている。

それに――もし本当に相手が001なら、自分は男に惹かれたことになるかもしれない。しかも中年の。

そ...

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