第17章

数人の奥様方が桐生雪菜にうやうやしく挨拶を向けた。とはいえ、その大半は腹の内を隠した社交辞令だ。

心から「ごきげんよう」と言っている者など、ほとんどいない。

それでも桐生雪菜は、にこやかに言った。

「私にもそこまでは分からないわ。さあ椿、紹介するわね。こちらが華やかで素敵な神崎奥様。こちらは穏やかで聡明な西園寺奥様。それから、明るくさっぱりした不二奥様に、物静かで落ち着いた酒井奥様よ」

褒め言葉を添えた紹介に、四人の奥様はぱっと表情を和らげ、桐生椿へ向ける態度まで柔らかくなる。

――これが言葉の手腕というものだ。

「そうだわ、美月、椿。ちょうど奥様方のお子さんたちが向こうにいるの...

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