第177章

九条蓮には、桐生椿がいつ自分の頬にこんな痕を残したのか、まるで思い出せなかった。

……けれど。

嫌じゃない。むしろ、悪くない。

「隊長……まさか、本当に恋してるんすか?」

堪えきれず、隊員の一人が口を挟んだ。その直後、別の男がスマホを覗き込み、甲高い声を上げる。

「うわ、マジかよ! おい、みんなスマホ見ろ! 隊長がバズってる! ほら、抱いてる女の子……見覚えないか?」

以前から、九条蓮と桐生椿が妙に近いのは目にしていた。だが二人とも何も言わないし、周囲も「まあ、仲がいいんだろ」程度で、休憩中のネタにするくらいだった。

ところが今は違う。

桐生椿が九条蓮に飛びつき、九条蓮は甘や...

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